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デジタル・アダプター:デジタル消費者セグメント#2

2番目に進取的なデジタル・アダプター

 次にイノベーター層に次いで進取的な「デジタル・アダプター層」(*1)だ。

デジタル・アダプター層の特徴

デジタル・アダプター層のペルソナ:西 拓矢(仮名)(29)会社員

 彼はデベロッパーに入社して約5年たち、中堅の営業職として働いている。スマートフォンは今や生活の中心で、コミュニケーションだけでなく、仕事、趣味、隙間時間の有効活用に欠かせない。ネットや雑誌で評価が高かったり、同僚や友人が使っていたりするアプリは必ずチェックをする。

パーソナルデータ

名前:西 拓矢
年齢:29歳
職業:会社員(デペロッパーの営業職)
住居:中目黒の1LDKの賃貸マンション(車所有)
家族構成:一人暮らし

ライフゴール

  • アッパーな生活を送れる自分でいたい

生活背景

  • 平日は残業か飲み会で帰りは遅い。週末はゴルフに行ったり、ジムに行ったり、車に乗ったり、買い物に行ったり、昼まで寝たり。
  • 今の趣味はゴルフ。早く80台でまわれるようになりたい。
  • 車は中古の外車。休日しか乗られないし駐車場代は高いが、自分の車をもつことは一種のステータスだと思う。
  • 衣服は百貨店で見て、最終的にはネット通販で購入することが多い。

ITリテラシー

  • ITリテラシーはそれなりにあり、同僚や友人にお薦めのアプリを教えることが多い。
  • 情報の仕入先はネットサーフィンやSNS。

デジタル製品・サービスへの利用状況

  • スマホは生活には欠かせない。コミュニケーション、情報収集以外にも、カメラやゲームといったエンタメツールとして必須。
  • 電子マネーも生活をスマートにする必需品。飲み会の割り勘もQRコード決済でできてありがたい。

デジタル製品・サービスに対する意識・ニーズ

  • デジタル製品・サービスは生活をよりスマートなものにしてくれるもののはず。
  • 良いもの、流行りのものは取り入れられる自分でいたいので、新製品・サービスは常に気にしている。
  • 自分の個人情報がどう扱われているかは気にならない。

スマートさと同時にコストを重視

 デジタル・イノベーターに次ぐリテラシー層の彼らだが、デジタル製品・サービスに求める価値はイノベーターと同様なのだろうか。
 本調査の結果をみると、アダプターはイノベーターに比べて、未来のサービスに対して、『先んじて取り入れたい』との思いは低いようだ。自動運転のロボットタクシーやカスタマイズされた行政オンラインサービスなど、「他の人より先に試してみたい」の回答割合が低い。

他の人より先に試してみたい(他の人より先に試してみたい~試したくないまで5段階の単回答)

  また、エネルギー事業者(ガス/電気)のアプリの利用用途を見ると、イノベーターに比べて、「エネルギー料金・使用量の確認」「ポイント積み立て・交換」が高く、「シミュレーション」「新商品・サービスの情報取得」が低い。
 これらのことから、アダプターにとってのデジタル製品・サービスは、イノベーターのように『新しいことをするため』ではなく、『基本的なことをスマートにやるため』という位置づけが垣間見える。

エネルギー事業者(ガス/電気)のアプリの利用用途(複数回答)

 そして、「これだ!」と思えば価格を気にせずに取り入れるイノベーターと違い、コストがネックとなる傾向もうかがえる。

ヘルスケア・健康管理を目的とする次のサービスや商品を「利用したくない」ないし「利用していない」理由
「サービス・商品にかかる費用が高い」(複数回答)

 リテラシーが高いからといって、先取性や先進性をアピールするだけでは、25%のボリュームがあるアダプターにアクセスはできないのだ。「デジタル先進層」というくくりではなく、イノベーターやアダプターというセグメントでターゲッティングをすることをお薦めしたい。


*1:デジタル製品・サービスに対する意識・行動の相違をベースに、生活者のデジタル化に関する7つの価値観(因子)を抽出し、クラスタリングを実施することで導出。

デジタル生活者調査の概要

調査手法:インターネット調査
調査対象:20-69歳の携帯電話ユーザー10,000人
デジタル・イノベーター 645人、デジタル・アダプター 2,218人、コンビニライフ2,162人、
デジタル・フォロワー 2,466人、アナログライフ887人、無頓着1,022人、
生活者セグメントの分析対象外 600人
調査期間:2019年8月2日(金)~8月6日(火)

富田 奈央子ビジネスリサーチチームリサーチアナリスト
消費者調査のスペシャリストであり、国内外における消費者行動・消費者意識調査を実施。リサーチ研修講師としても活動。
青山 温子ビジネスリサーチチームリサーチアナリスト
ヘルスケア・エネルギーなど産業財業界を中心とした産業調査、国内・国外(アジア各国・インド)における消費者調査に従事。
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